Yukari Shuppan
オーストラリア文化一般情報

2002年~2008年にユーカリのウェブサイトに掲載された記事を項目別に収録。
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ワイン入門25 木村靖のワイン講座

ヴィクトリア州のワイン産地(2)  

Macedon
積雪のあるマウント・マセドンは、メルボルンから北西約70kmに位置し、ワイン産地はこの山を囲むように、19世紀からワインが造られていたSunbury,Romsey,Lancefield,Kyneton の街を中心にした5区から成る。寒冷地のため良質なスパークリングワインの原料となる葡萄が生産され、温暖な年には良質なテーブルワインも産出される。

Bendigo & District
Bendigo は、 メルボルンの北北西160kmに位置し、19世紀中ごろから金鉱の町として栄えた。ヴィクトリア州では大きなカントリー・タウンのひとつである。当時の面影を残すこの町の周辺では、新しいワイナリー20社が良質な赤ワインを造り、主にこの地区の南部にあるHeathecote 周辺にワイナリーが集まっている。

Grampians
メルボルンから北西200km、広大な自然国立公園の東側に位置し、1850年代からゴールド・ラッシュの中心地として栄えた産地である。当時、グレート・ウエスタンの町に操業を始めた2社のワイナリーは、今でも伝統の醸造を続け、新しいワイナリーを含めると9社が良質なスパークリングとテーブル・ワインを造っている。

Pyrenees
Grampians 地区の町 Ararat とBendigo の中間にあり、メルボルンから北西150kmに位置する Avoca 町を中心とする産地。葡萄畑は Pyrenees 山麗の裾野に広がり、19世紀にワイン造りが行われていた記録もあるが、1960年代から操業を始めた8社が、良質な赤ワインを作っている。

Central Victoria
ゴゥルバーン・ヴァレー地区とも呼ばれ、メルボルンから北120kmに位置する。産地の中心の町は Nagambie。ワイナリーは広範囲に点在し、赤ワインを特産とする産地である。19世紀中頃からワイン造りを続け、重要文化財に指定されているワイナリーもあり、現在9社が操業している。

North East Victoria
メルボルンから北東400km、ニュー・サウス・ウエールズに近い産地である。標高の高い畑の葡萄から良質なテーブル・ワインが生産され、19世紀後半にヴィクトリア州最大のワイン産地になった Rutherglen 小区は、気候が温暖なため、ポート、リキュール、マスカットなど世界的にも名のある酒精強化ワインを産出している。

Gippsland
メルボルンから南西100kmから250kmのプリンセス・ハイウェー沿いに13社が点在し、チーズの生産でも有名な産地。良質なテーブル・ワインが生産されている。

South West Victoria
メルボルンから西400km、南オーストラリア州まで80kmにある Hamilton の町と海岸に面する町 Portland を結ぶ線に3社が操業する。

Murray River
メルボルンから北北西700kmに位置する Mildura の町から南西200kmの範囲にかけて、ニュー・サウス・ウエールズ州との境に流れる川 Marray に沿って9社が操業している。温暖な地区であるが灌漑用水が豊富で、大手メーカーが量的生産を行っていて、州最大の生産量を持つ。シェリーなど酒精強化ワインに良質なものがある。

木村靖

*筆者の木村靖さんは、オーストラリアの大学でブドウ栽培学とワイン醸造学を学ばれました。
  1993年より「ユーカリ」に「木村靖のワイン講座」を執筆していただき、この記事は1995年に掲載したものを再掲載しています。
*この記事の無断転載・借用を禁じます。

 

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