Yukari Shuppan
オーストラリア文化一般情報

2002年~2008年にユーカリのウェブサイトに掲載された記事を項目別に収録。
前へ 次へ

オーストラリアの花々 72)   

 

 シャクナゲ              
 
Rhododendron
 

 

シャクナゲの原産地は主に中国奥地からヒマラヤ。スコットランド人のジョージ・フォレストは1904年より28年間中国雲南省で植物採集にあたり、約5000本のシャクナゲを本国に送り、送られたシャクナゲは欧米で競って交配、改良されて豪華なシャクナゲとなって世界各地に広がり、その数900種以上にのぼるとのことです。イギリスには1915年にはシャクナゲ協会が誕生。ここメルボルンのダンデノン丘陵にもシャクナゲ園があり、約350種、15000本が、冬の終わりから春にかけて園いっぱいに咲き誇り、訪れる人たちを楽しませてくれます。

 

オーストラリア原産のシャクナゲは2種。その一つは学名Rhododendron  lochiae.  豪華な栽培種とは異なりますが、蝋を塗ったような鮮やかな赤のインパクトのある花です。Rhododendron はギリシャ語で、rhodon はローズ、dendronは木で, ローズツリーの意。Lochiaeは、オーストラリア園芸のサポーターで、ビクトリア州総督の奥さんであったLady Locknにちなんで初めはlochaeとつけられ、後に綴りがlochiaeと訂正された由。

 

ツツジ科。常緑性低木。樹高13mぐらい。根元の方で枝分れしてこんもりと広がります。枝は若い時は褐色、長じてくると灰白色になります。花はベル形の5弁花。直径5cm、長さ7cmぐらいで色は濃い赤。茎の先の方に垂れ下がって56個咲きます。花期は夏。

 

葉は互生で長楕円形。巾34cm、長さ67cm。濃いグリーンの硬質です。

 

増殖は挿し木または種子より。もともと1000mぐらいの山に生息のため、半日陰の水はけのよい涼しいところを好みます。鉢ものに仕立てて、開花に合わせ、置き場所を移動させながら観賞するとよいでしょう。

 

蛇足ながら、「牧野植物図鑑」によると、和名に石楠花の文字を当てられていますが、これは漢名の石南花をシャクナゲに誤ってつけた名前で、本当の石南花は中国原産のバラ科の植物とのことです。

一葉式いけ花  ジャクソン増美

* この記事の無断転載・借用を禁じます。
 (私的学習、リサーチ、評論、批評のための使用は例外とされます。)

 

 

 

 

前へ 次へ