Yukari Shuppan
オーストラリア文化一般情報

2002年~2008年にユーカリのウェブサイトに掲載された記事を項目別に収録。
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日豪教育事情 
(5)     オーストラリアから

日本から

坂詰貴司

 ご承知のように日本では新年度が4月からですので、新しい学年になって早くも1ヶ月がすぎました。昔はよく大学生がこの時期に、「五月病」というノイローゼのような状態になる場合を耳にしましたが、最近は少し違うようです。熱心にアルバイトやサークル活動をしたり、「ダブルスクール」と称して大学生が専門学校などに通うためかもしれせん。さて今回はご希望をいただきました「ゆとり教育」について述べてみたいと思います。

現在日本の公立学校は豪州と同じ週5日制を採用しています。これは数年前に毎月第2・4土曜日が休みという経過措置から移行したものです。旧文部省(現在は文部科学省)は、「ゆとり教育」の一貫としてこれを宣伝していました。ところがその当時、「指導要領」という日本のカリキュラムは、週6日制で作成したものでしたので、どうしても時間数が不足してしまいます。そこで学校の中には夏休みなどの長期休暇を減らしたり、運動会や遠足など学校行事の廃止、そして毎日の時間数の増加などで対応しました。このような結果、子供たちにとっては、土曜日が休みということで「ゆとり」が生まれたかもしれませんが、そのしわ寄せが先程述べたように、思わぬところに現れたのでした。現在一部の学年で新しい「指導要領」が実施されていますが、その傾向は変わらないようです。またどうしても内容や時間数の不足から、学力低下という問題が新たに出てきました。「分数の計算ができない大学生」を扱った本が出版されるなど、大学は新入生の学力低下に直面しており、高等学校の内容を復習する大学が増えてきました。このような流れから、新しい教科書の中には、以前扱っていたものや大学レベルの内容を復活した場合もあります。
このように「ゆとり教育」という言葉を聞くと、とてもよいことを想像すると思いますが、現実は少し異なるようです。また私立学校では各学校の独自性がある程度認められますから、私の勤務校では今でも土曜日は午前中ですが授業をしています。このような結果公立学校では危機感が募り、中には土・日に補習授業をする学校まで登場しています。また学校が休みの日に塾に通う場合もあるようです。これではますます「ゆとり教育」に対して疑問が生じてくるのは私だけでしょうか?
今後どのようになるかわかりませんが、今回も日本の教育政策の弱点が浮き彫りになった気がします。

今後取り上げてほしい話題など、ご意見、ご希望がございましたら以下の電子メールまでお願いします。

takashi.sakazume@nifty.ne.jp

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