Yukari Shuppan
オーストラリア文化一般情報

2002年~2008年にユーカリのウェブサイトに掲載された記事を項目別に収録。
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日豪教育事情 
(4)     オーストラリアから

オーストラリアの学校

壷坂宣也

 まず初めにオーストラリアは州ごとに学校のシステムが大きく異なり、私が働いているヴィクトリア州とクィーンズランド州では、様々な面で違いがありますので、今から皆さんに読んで頂く記事はヴィクトリア州の学校についてのことだ、ということをまず念頭において下さい。

 こちらの学校で働き出して、驚いたことはたくさんありますが、特に人事に関して驚いたことがかなりありますので、今回は人事に的を絞ってお話をしてみたいと思います。ヴィクトリア州では学校で職員の欠員がでた際、新聞で一般公募し、希望者が履歴書などの必要書類を提出し、その後、書類選考と面接によって、選ばれるのが一般的です。

 三年前に私の働いている学校の近くの公立高校(ほとんどの学校が中高一貫教育)で、新しい校長を公募しました。そして、教頭の経験のある者も含めて数あるベテラン教員の申込者の中から、なんと34歳の女性が校長に選ばれました。日本では教員の採用人数が減り、年々各学校の職員の平均年齢が上がっていっているので、34歳の教員というのは若手教員の部類に入れられるのが最近の実状です。年功序列や経験の長さを重要視する風潮がまだまだ残っている日本では、まず34歳という年齢で校長として認められることはない、と言っていいのではないでしょうか。

 また、もう一つの例を挙げますと、私の勤務する学校で日本の学年主任にあたる役職を公募した際、26歳の外部からの教員経験三年程度の男性教員がその仕事を射止めました。もちろん、最初は他の職員も半信半疑で彼を観察していましたが、彼は予想以上の仕事ぶりでベテランの職員達をアッと言わせました。日本の学校で学年主任の担当者を選ぶ場合は、必ずその学校で何年かの経験がある者の中から選びます。外部のしかも学年主任を一度も経験したことのない若い教師が、転勤して来たと同時に学年主任に任命されるといったことは全く考えられないことです。

 たかが人事といっても、日本とオーストラリアでかなりの違いがあることを分かって頂ければ幸いです。

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